金子建築工業株式会社(協同組合東濃地域木材流通センター KeyPoint、楽園住宅)

金子建築工業株式会社 会長 金子 一弘(65)東京出身
岐阜県下最大級の東濃ひのきを中心とした木材流通業、建築資材販売、高断熱・高気密住宅の金子建築工業(株)金子会長へお話を伺いました。

「後悔させない住宅を造る工務店さんを増やすことが会社の存在理由」

とにかく暖かい家に住みたい

東京で生まれ育った金子会長は大学卒業後、都内の会社へ就職します。金子建築工業(株)(以下、金子建築)へ入社したきっかけは24歳の時、当時金子建築の社長を務めていた母方の祖父からの「社長をやってみないか」という打診でした。一生サラリーマンでいるより社長になった方が面白いと考え、恵那市に移住します。

「東京暮らしと違い、東濃地方の寒暖の差が堪えました。特に冬は寒く、とにかく暖かい家に住みたいとの思いでセントラルヒーティングシステムを導入した自宅を建てました。しかし当時のセントラルヒーティングシステムでは、ひと月に1000Lもの灯油を消費するためランニングコストがかさみ、使い続けることが出来ませんでした。いくら家を温めても、断熱・気密性が無ければエネルギーを大量に使わなければなりません。
また、オーロラを見にフィンランドに行った際、外は氷点下30度なのに室内は軽めの暖房だけで暖かく、皆半袖半ズボンという服装で過ごしていることに衝撃を受けました。
このような経験から、太陽の熱を有効利用するヨーロッパの住宅について研究を始め、北欧の旅からの帰国後、北欧の断熱技術を日本でただ1人スウェーデンのルンド大学ボー・アダムスン教授の元で学ばれた室蘭工業大学の名誉教授、鎌田紀彦先生に師事し高断熱住宅の基本を習得しました。

木材業界についての論文執筆がターニングポイントに

金子会長が45歳の時、農林水産省の特別職国家公務員として10年間勤務します。その後さらに木材への研究を深めるため東大へ8年通い博士課程を取得、高断熱・高気密住宅に精通していくきっかけとなりました。

親交のあった東大の先生から、“あなたの研究は興味深いのでぜひ論文を書いて欲しい”と依頼があり、木材業界においても顧客満足度を高めていきたいとの思いから、「今後の東濃の木材流通に付いて」というテーマで8ページの学会誌を書きました。45歳の時、この論文がきっかけで、林野庁の委員に招かれ、農林水産省林野庁「林業政策審議会」へ特別職国家公務員として霞が関で10年間勤務することになりました。

ここで出会った東大教授の安藤直人先生から、社会人選抜5名での特別授業へ招かれ、東大へ通うことに。2年間で修士課程取得、さらに6年かけて博士課程を取得しました。東大へ通っていた8年間で、研究に必要なデータを取るため11軒のモデルハウスを建て、実験・検証・データ取得を行ないました。現在も、モデルハウスの内外気温や湿度などのデータは、随時東大研究室へ送られています。」

エアコン一台で冬でも夏でも快適に、快適さを計算し尽くした楽園住宅

快適な家でも大量のエネルギーを使うのでは意味がない。これまで培ってきた知恵と技術を駆使して建てられる金子建築の建てる家とは。

「温度はもちろん湿度も管理するので、ほとんど結露がありません。結露がないということは、壁の内側に付く結露が原因で起こる柱や土台の腐り、シロアリ被害を受けにくく、土台が健康な状態を保つことができるので、地震が来ても耐えられる体力がある、ということが言えます。楽園住宅は公共建物と同じキープ力「耐震等級3」を獲得しており、結露がない分耐久性も下がりにくい作りになっています。
断熱性と気密性を高めるため、一般の住宅と比べて基礎のコンクリートや鉄筋の量も違ってくるので最初にかかる建築費用は高いですが、ランニングコストはかなり削減できます。」
*耐震等級3…等級1(建築基準法の耐震性能を満たす水準)で想定される1.5倍の地震が起きても耐えられる水準。主に消防署や警察署など防災の拠点となっている建物は等級3

岐阜県下最大規模、東濃ひのきを中心とした木材流通センター(恵那市長島町)

家は高い買い物。だからこそ施主さんに後悔をさせたくない

地元の大工さんや工務店向けの勉強会「構造塾」で、今まで培って来た技術、実験データ、ノウハウを惜しみなく開示、レクチャーする活動も行う金子建築。その理由と今後の目標について伺いました。

「本業は、木材流通・建築資材販売がメインの会社ですので、工務店はお客様です。地元で、良い家を建てられる工務店や人材を育て、家が立っている間中後悔がないよう、また後悔をさせない工務店を増やしていくことが、自社の存在理由だと思っています。
一般の方向けにも「住まい塾」を開き、人生最大の買い物を失敗しないために、資金計画や住宅の構造・性能・仕組みを知って適切な業者選びをしてもらえるよう、勉強会を行っています。業界のレベルを上げるためにはお客様の業者を選ぶ目を養うことも重要です。」

木材流通センター内の勉強会や研修などを行う施設

木材流通センター(木point)

次世代を担う若者へのメッセージ

外国や世界へ目を向けて、もっと勉強して、果敢にトライして欲しいと思っています。

また、どんな時もプラス思考が大切です。物事には100%悪いこともなければ100%良いこともない。悪い出来事も数%でも良いところが必ずあるはず、そこにフォーカスを当てて良い所だけ見て伸ばす。合理的にものを考え悪いと切り捨てるのではなく、そこから良いことや学べることを見出して行く目を養っていってください。」

基本情報
会社名
金子建築工業株式会社(協同組合東濃地域木材流通センター、通称: KeyPoint運営)
代表者名 会長 金子 一弘
所在地 楽園住宅オフィス:〒509-7203  岐阜県恵那市長島町正家1-5-5
協同組合東濃地域木材流通センター(KeyPoint):〒509-7203  岐阜県恵那市長島町正家613-10
TEL/FAX 楽園住宅オフィス TEL:0573-26-5122
業務内容 楽園住宅:注文住宅、リフォーム、断熱改修、耐震改修   協同組合東濃地域木材流通センター(KeyPoint):木材・建材販売
公式サイト 楽園住宅:https://rakuen-jutaku.co.jp/index.html
協同組合東濃地域木材流通センター(KeyPoint):http://www.keypoint.or.jp/index.html
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