東海神栄電子工業株式会社(ナカヤマグループ)

東海神栄電子工業株式会社、株式会社中山理研、株式会社ナカヤマ、Happy Natural、NPO法人日本を美しくする会所属
ナカヤマグループ 代表取締役 田中 義人(71歳)恵那市大井町出身

メタルマスク、実装用治具販売、各種プリント配線基板の設計・製造・販売、包装資材、ラベルステッカー、園芸包装資材・器具、農業用軽包装資材等の開発・製造・販売/食品卸売業、自然食品のインターネット販売など多岐にわたり事業展開をするナカヤマグループ代表へ取材しました。

 

「掃除が教えてくれた本当の豊かさとは。『掃除道』で会社を立て直す」

大学卒業後任された会社で経営の壁にぶつかる

昭和44年日本大学卒業後、田中社長はお父様が準備していた会社、神栄工業(東京本社)の下請け業務を行う東海神栄電子工業(株)を任され、主にテレビ、オーディオ関係のプリント配線基板の製造業務に従事します。
しかし、時代の流れで大半の仕事が中国に移管されたため、現在は産業用機器の制御基板を中心にAI、ロボット関連の仕事が中心となっています。取引先は海外展開しているお客様を中心に、量産品ではなく、中小ロットに特化した生産を行なっています。

「新卒でいきなり経営を任されたため、無我夢中で朝から晩まで働きました。日中は現場のプレス・印刷業務、皆が帰った後は次の日の仕事の段取りと、毎日7時~22時頃まで働きました。肉体労働で長時間労働、おまけに労働環境も最悪で設備は中古ばかり、東南アジアの職場より酷い、と言われたことが印象に残っています。そのような状況の中、求人を出してもまともな人材が来てくれませんでした。高い離職率に、けんかやいじめも日常茶飯事、社員の自分勝手さによく泣かされ、なんで私がこんな仕事をしなければいけないのか、と思うこともありました。金銭面でも同業下請けでしたから全然儲が出ない状況でした。」

自分も従業員も気持ちよく働ける会社にしたい

その頃入会した、名古屋中小企業家同友会で社員教育の大切さを学び、自社へ取り入れていった田中社長。従業員を外部のセミナーに行かせたり、高校の先生を呼んで社内勉強会をしたりと試行錯誤しましたが全く効果は得られませんでした。
そこで、まずは幼稚園から教える人間教育「履物を揃える、挨拶をする、身の回りの整理をする」ことから教え始めることにしました。

「「履物を揃える、挨拶をする、身の回りの整理をする」良いことを習慣づける社員の考えや行動が変化し熱心に仕事へ打ち込むようになり、結果売上が上がって行きました。すると次は、自分の能力以上にもっと給料を上げろと文句を言うようになりました。そこで、従業員とどうすれば希望が実現できる会社になるか話し合い、経営を学び理屈を知って納得してもらう、一泊二日の「秀観塾」を開催するようになりました。」

バブル崩壊、鍵山秀三郎先生との出会いがターニングポイントに

田中社長が経営する東海神栄工業は、平成3年バブル崩壊と共に一時は年商36億円にまで達していた売上が半減、経営の危機に直面します。従業員のリストラだけは避けたかった田中社長は、どうにか生き残る道を模索する中、地元の催しで鍵山秀三郎先生と出会います。
※鍵山秀三郎:(株)ローヤル、(現(株)イエローハット)創業者

初めてお会いした日、鍵山先生は「30年間、毎日、掃除を続けてきました。そのお蔭で、人生も、会社も変わってきました。掃除を通じて、世の中から心の荒みをなくしていきたいのです」と、語られました。
正直、掃除で何が変わるのか?!という思いもあったのですが、真面目で誠実な人柄が自分の尊敬する祖父のイメージとピッタリ合ったこともあり、直感的に鍵山先生を、自分の師として学んでいこうと決めました。

早速掃除を実践するため、近所の市神神社を掃除することにしました。
当時の市神神社は、駄菓子のゴミや空き缶が散らかり、しめ縄も垂れ下り、お社は朽ちてボロボロ、U字が置いてあるだけのトイレはU字が割れて汚れて臭く、本当にひどい状態でした。それでもとにかく毎朝6時から30分、掃除を始めました。
掃除を始めて半年経った頃、ふとお社を見ると朝日がスポットライトのように当たり、なんとも神々しく輝いていた光景が、今も忘れられない記憶として残っています。

その後、以前より沢山の子供が神社へ遊びに来るようになりましたが、その割にゴミが減っていることに気づきました。子供達はきちんとゴミ箱へ捨てるようになったからです。また、神社敷地内にある壊れた遊具を治す方が現れ、お社も立て直しが決まり綺麗になりました。崩れかけていた周りの石垣もきれいに整備され、トイレも新しく水洗トイレに改装されました。さらには、それまで無かった市神神社の由来石版も新設されました。

今まで誰もが放置をして来たのに、掃除によって場が生き、本来の姿と機能を取り戻したのです。このような出来事があり、鍵山先生の教えはこういうことか!と、腑に落ちました。」

市神神社の清掃研修風景

現在の市神神社

徹底した掃除のおかげで経費削減へ

掃除の効果に納得した田中社長は、ナカヤマグループ全体へ取り入れ、まずは月2回、徹底的に社内を綺麗にする活動を始めていきました。

 「当時、グループ会社の中山理研では、ガス漏れ、液漏れ、頻発する製品不良、不良が多いので残業が多くなる、という悪循環が蔓延していました。そのため仕事の一環として、業務開始前に1時間掃除を行うようにしました。
すると、一番良い状態で仕事を始められるので作業効率が上がり、製品不良も減り、その結果残業も減っていきました。また、使用している工業機器も掃除をしているうちに仕組みがわかり、自分たちで毎日メンテナンスし手入れをするようになりました。
こうして大切に使うことで、
10年持たないとされる工業用機械が、かれこれ28年順調に稼働しており、余計な経費を使わなくて済んでいます。」

 

掃除は物や人を大切に想う心を育む、人は人との繋がりの中で生きている

こうした掃除の取り組みに対して、中国・アメリカ・ルーマニア・イタリアなど海外からも、度々視察に訪れています。田中社長は来られた方達へ、掃除を続けることで、小さなことに気付けるようになり、物や人間関係に於いても相手を大切にできるようになるのだと、伝えています。

「普段目につかない部分を綺麗に手入れすることは、自分の潜在的な面を引き出すことにつながり、人間性を高めることができるのです。掃除を通して人間性を高め、成長が能力を高め、結果会社を高める、それが社員の幸せや豊かさに繋がると思っています。」

以前は、儲け一番・成果分配主義だった田中社長。売上が良い時は賞与以外に手当を社員に分配していたのですが、そのうち一部の従業員からもっと寄こせと、欲が出て来たことにショックを受けます。自分の金銭的に困窮した経験から、お金をたくさん渡せたら満足してくれると思っていたからです。バブル崩壊後、この様な従業員は辞めて行きました。掃除を取り入れた時も、一部の若い人は辞めて行きました。

「そのような社員とは、お金だけの結びつきでした。壊れやすく会社の成長へは繋がりません。私はこの学びから、結果ではなく、プロセスや質を大事にする考えへと変化して行きました。会社も大きくすれば良いというわけではなく、経営者の思いが通じる規模が適正規模だと思っています。
人は繋がりの中で生きているということを忘れず、まず家族や身近な人たちを大切に、掃除を通しそんな「心の豊かさ」に気づいてほしいと願うようになりました。」

 

次世代を担う若者へのメッセージ

問題から逃げないこと、人に喜ばれる人間になって欲しい。

目の前の問題から逃げず、頼まれごとや与えられた課題に取り組み向き合う、それが成長し信頼される人間性へとつながります。目の前の問題に向き合い乗り越えて行くことで、大きな問題やストレスも乗り越えられる力がつくようになり、問題に挑戦できる人間になっていきます。体験や、失敗経験などが自分の能力を高め、それが知恵になるのです。
「目先の損得思考」や、「ラクをしよう」「今さえ良ければ」「自分さえ良ければ」「お金が全て」という考は相手に対しても不安と不満を産み、やがて自らの精神的・物質的貧困へとつながります。常に相手の役に立ち、喜ばれることを大切にした良き人間関係づくりを大切に、自己の成長をはかってください。自己の成長と良き人間関係を大切にした生き方は、良き縁、出会いを生み、仕事を生み、信頼を生み、結果、お金にもつながっていくことを知ってほしいと思っています。
そして、今しかできないことに全力で真剣に取り組んでください。」

 

田中社長の目指すもの

「私たちの経営方針は、ただ給与を得るための仕事の繰り返しではなく、仕事を通じて社員の人としての人間性の向上と仕事能力を高められる経営をすることです。現状を踏まえて今いる社員と共に、お互いの信頼関係を大切に、一歩一歩会社を成長させ、小さくとも世界に通じる会社とすることを目指しています。そのベースとなるものが、日々の掃除と社員教育です。社員の成長こそが会社の成長となります。
そして、次の世代へ理念を引き継ぎ、質を高めて欲しいと思っています。地域を大事にする企業経営を行い、若い人が戻ってくる街にすることで、次の世代が良くなってほしいと思っています。若い人は、人と人との繋がりを大切にして、自分の存在感のあるところに住んでほしいものです。(都会よりこの辺の地方都市はおすすめですよ)
そしてやはり、子供や孫の世代が良くなるのが一番嬉しいです。親が子や孫の世代のために環境を良くする、このような文化を残して行きたい、そのためにやりたいことがたくさんあるのでまだまだ頑張ります。」

基本情報
会社名
東海神栄電子工業株式会社(ナカヤマグループ会社:株式会社中山理研、株式会社ナカヤマ、Happy Natural)
代表者名 代表取締役会長 田中義人
代表取締役社長 秋山浩司
所在地 〒509-7201 岐阜県恵那市大井町630-1
TEL/FAX TEL:0573-25-4414/FAX:0573-26-5040
業務内容 各種プリント配線基板の設計・製造・販売(両面スルーホール・多層配線板・ZO基板)、新製法プリント配線板 PIERD、メタルマスク・実装用治具販売
公式サイト http://www.tsk-pcb.co.jp
求人サイト http://www.tsk-pcb.co.jp/recruit/

関連記事

ページ上部へ戻る