丸山木材工業株式会社(マルヤマグループ)

丸山木材工業株式会社(マルヤマグループ)代表取締役 丸山 大知(40歳)中津川市出身
株式会社イワビシ、東海道路株式会社、株式会社アルティー、株式会社NTP、MFP合同会社、株式会社ヤマキチ木材、株式会社木講堂、学校法人 恵峰学園(杉の子幼稚園、すずめっこ杉の子幼稚園)社会福祉法人 恵峰会(幼保連携型認定こども園 にし こまの森 めぐみ保育園、のぞみ保育園)を運営する、総合企業マルヤマグループ代表へお話を伺いました。

「木材に新たな価値を見出す、四代目の挑戦」

国内外の林業について学ぶ

2019年で創業103年を迎えた、丸山木材工業株式会社。(以下略、丸山木材工業)
木材加工業から始まった同社は現在、住宅建築、環境エネルギー事業、電子基板、換気扇のモーター製造、交通安全施設、子育て事業まで、多方面での事業展開をしながら成長を続けてきました。
丸山社長は、東京の大学を卒業後、住友林業株式会社(以下略、住友林業)に就職。住友林業ではバンクーバーでの駐在勤務を経験し、5年勤務したのち丸山木材工業へ入社します。

「住友林業でバンクーバーへ駐在していた時は、朝から晩まで外国木材に触れて来ました。その頃日本での国産木材使用率は10%、残りは全て外国産木材を使用していました。外国からの輸入が無ければ日本国内の住宅が建たない、という状況でした。」

木材業界の現状

2020年に開催される東京オリンピックの新国立競技場に木材も利用されるなど、住宅・非住宅とも木造建築の魅力が見直されてきました。しかし、現在の国内木材使用率は未だ約3割、木材業界の動向について伺いました。

「これだけ外国産の木材を輸入しながらも、昨今国産木材と急に言われるようになったのは、戦時中に大量伐採された木材が、戦後の地道な植林活動のおかげで50年以上たった今、成長し伐期を迎えているからです。木材は50〜70年で1人前の木材に育ちます。
戦後人口が爆発的に伸び木材が不足したため、日本は外国産の木材に頼ることとなりましたが、現在は国としても、木材は育てる時代から使う時代へと向かっています。
ここ中津川・木曽地区は、伊勢神宮、名古屋城、姫路城、に奉納するような良質な木材の産地であるにも関わらず、地元で加工され、有効活用されていないのが現状です。そのため、祖父の世代で育てられた木がようやく伐期を迎えた頃には、林業は衰退し木材を使う人、加工する人など林業へ従事する人が激減してしまいました。」

製材会社MFP合同会社創設の想い

丸山社長は丸山グループの次の100年を見据え、また国産材に可能性を見出し35歳の時に製材会社を立ち上げます。
木材からは紙や電気が作られ、家具、建築材料の原料となります。また、木材は化石燃料が出来るまでの途方も無い年月とは比較にならない速さ、植えてからたったの50年で一人前の木材へと成長することから、エネルギー資源としても無限の可能性があると考えられています。丸山社長は、そこに国産材を使えないかと考え、製材会社MFP合同会社(以下略、MFP)を創設します。
通常、木材業者は木材を海外から輸入するため、海に近い場所で業務を行うのが有利というセオリーがありますが、中津川市は海から離れた内陸地、この地で新たに製材会社を立ち上げた理由とは。

「確かに輸入木材は海の近くで販売するほうが便利ですが、ここには豊富な森林資源を持つ山がある、であれば山に行けば良いのだと考えました。
国産木材を販売すると言うことは、伐採、運搬や加工など全て国内で作業するため、国内でお金が回り林業が潤い、結果的に山林の活用・林業従事者の育成など林業の活性化に繋がります。
また、木材は燃やすと電気が作られます。木材を燃やしての発電はカーボンオフセット※なので環境破壊にならず、山に大量に放置されている使いみちのない未利用木材(間伐材)も利用できます。外国産木材ではなくこの土地の豊かな森林資源を利用し、国産材の可能性を追求する私達の業務は、社会性のある仕事だと考えます。」
※木材は大気中の二酸化炭素を吸収し、酸素として放出する。木材を燃やした際に出る二酸化炭素はもともと木材が吸収したものなので、増加としてカウントされない=カーボンオフセット(化石燃料は掘り起こしたものを使用するので二酸化炭素は純増となる)

会社創設がターニングポイントに

製材会社はグループ企業内での新事業としてではなく、MFP合同会社として新たに立ち上げられました。会社創設の背景には、丸山社長の生い立ちが関係していました。

「子供の頃はよく、“ボンボン”とからかわれることがありました。大人になっても、“恵まれているね”と言われます。四代目として恵まれた環境で育ったことを認めたくなくて、自分の力で何かを始めたい、という思いもありました。ボンボンを1ミリでも出てみたかったんです(笑)
製材会社を立ち上げる時、グループ会社内の新事業として立ち上げる計画でしたが、父の賛成が得られなかったため、父やマルヤマグループの資金なしで事業をできないか考えました。
製材会社を運営していくためには設備投資が必要で、資金調達のため銀行に相談へ行くのですが、なかなか億単位のお金は貸してくれません。それでも、マルヤマグループの次の100年のため、林業や木材のためにやらなければいけないことだと銀行に懇願、自分の貯金もつぎ込み、起業しました。」

ボンボンからは出られない

会社の未来を考え木材の可能性を開拓するため、また、目の前に引かれた四代目というレールに抗うかのように、製材会社を立ち上げた丸山社長。父親の賛成が得られない中で起業したことで沢山の気付きがあったと言います。

「起業してみたら自分が期待していたものと真逆の答えが出ました。自分はボンボンから出られない、という事に気づいてしまい、愕然としました。周囲から言われる“恵まれている”という意味が分かってしまったのです。
途方に暮れふて腐れそうになりましたが、ここでふて腐れたときが本当のボンボンになるときだ!と思い直し、人間誰しも生まれた環境を選べないのであれば、会社が100年間こつこつ積み上げてきた資金、歴史、信用を、自分の強みとしてフルで生かしていこうと決めました。
実際、次期社長だからお金を借りられましたし、これまでの歴史があって協力してくれる人がいて、蓄えられた技術や知識がある。結局自分は恵まれているのだと実感しました。」

会社の運営が始まると丸山社長は、一筋縄では行かない仕入れの大変さ、売上を作ること、そして黒字にすることがどれだけ大変なことかを痛感し、これまで会社を支えてきた、先輩・OB社員・亡くなった社員へも改めて尊敬と感謝の気持ちで一杯になったと言います。

「最初は丸太1本購入するのにも大変な苦労がありました。ここでも丸山木材工業だから何とか売ってもらえた、というのがありました。
また、自分で起業したので月末までにどれだけの売上を作って、返済額はどれだけか、常に考えている必要がありました。当たり前のことですが自分で起業しなければ、人件費や経費などのキャッシュフローを把握することもなく、通帳すら見なかったでしょう。
私たちの取り組みを理解し、売ってくれた人、買ってくれた人がいました。単なるビジネスという側面だけでなく、そこには私たちの背中を押してくれるような気持ちや想いがありました。受け取った想いは一生忘れませんし、そこに商売の本質があるのではと思います。
父には“やれば良いってもんじゃない”と言われます(笑)でも、起業して未だに苦労はしていますが、生まれ変わってもまた挑戦すると思います。売上を作ることの難しさを学び、何十何百とある仕入先、売り先も先代が切り開いてくれたものだと分かったのですから。」

木材業界をもっと面白く

儲からずキツイ仕事、と言うイメージのある木材業のイメージを刷新し、若い世代や女性にも木材について知ってもらいたいという思いから、丸山社長は新たに桧(ひのき)を使用した化粧品を開発する会社を立ち上げます。桧の葉から抽出した精油を商品化し、今後販売していくそうです。

「通常、山から丸太を運び出す際に木の葉や枝は捨てられていますが、日本3銘木である木曽(東濃)桧の葉や枝からは上質な精油が抽出でき、それが加子母で販売されていることを知りました。ストレス社会の中で、桧の香りは癒やし効果の高さが実証されています。地元ではありふれているものでも、都会の人からのニーズがあります。今後は、桧の効能をシャンプーや化粧品などに取り入れ、都会や外国の方に使ってもらいたいと考えています。
MFP創業時は丸太を売ってもらえず、直接山へ買い付けに行っていましたが、すんなり売ってもらえなかったからこそ、森に放置されたまま使いみちのなかった葉や枝に気付くことが出来ました。
一見無価値なものから価値を見出し、まだ知らない木材の魅力や可能性を発見できる、ということも木材業の楽しさです。
今後も、新たなニーズを発見するという着眼点で拡げていきたいと思っています。木と会うと書いて桧、おもしろいですよね。“Meet Tree”は商標出願中です。」

想いを次世代へ絆ぐ

中津川市北東部に位置する川上(かわうえ)のMFP製材工場では、地元、川上小学校から工場見学の受け入れを積極的に行っています。川上という土地は、昔は林業鉄道があったほど中津川の中でも特に良質な木材が採れます。
丸山社長は、木材からは紙や電気が出来るということ、そんな木材の産地であり豊かな自然に育まれた川上は自慢できる素晴らしいところなのだと、学生たちへ語り継ぐ活動にも力を入れています。

今後の目標

マルヤマグループ次の100年に向けて、目標を伺いました。

「非住宅(住宅以外の建築物)木造化で中津川を木造の聖地に出来ないかと考えています。しかし、戦後木材が足りなくなった時、鉄骨やRCが主流となったことで、大学や専門学校で木造の構造設計を教えなくなり、今では木造の非住宅の構造設計をできる人材がほとんどいなくなってしまいました。縁あって構造設計を得意とする企業をM&Aできたので、今後は、木材や木造に関わる人材の育成にも力を入れていきたいと考えています。
当社の子育て事業では、保育園3園、幼稚園2園を運営していますが、中でも、木造で建てたこども園は人気で、やはり木に囲まれての生活を望む人が多いのだと気付かされます。木材のこと、子育てのこと、全国の保護者や、社会福祉法人、学校法人に伝えていくと同時に、どんどん木造の非住宅を増やしていきたいと思っています。
最近では、伐採効率化、加工場の巨大化により、国産材と外国産木材の値段差がなくなってきましたし、木造の事務所、店舗、倉庫、工場は減価償却が短いため、キャッシュフローの良さも魅力です。
社に掲げられている、先代の“本業を続けるな”“本業をはずれるな”という言葉の意味を、毎日自問自答しながら、先輩たちが創ってきた会社を自分の代で更に良い形にして次の代へバトンを渡したいと思っています。そのためには、地域、社会、人から必要とされ感謝される人間、会社でないといけないと思っています。
ビジネス上での“ありがとう”ではなく、“こんなに良い木材を供給してくれてありがとう、また家を建てる時は丸山さんに頼みたい”、というありがとうをいただけるよう、地域や人から必要とされる会社を目指していきます。」

若者へのメッセージ

他人の視線を気にせず、他人の人生ではない、自分の人生を生きて。

自分も何もせず父親からすんなり会社を引き継いだとしたら、悔しい思いや、葛藤、様々な出会いや発見も無かったと思います。
何かやっていると良いときもあれば悪いときもある。ダメだった時に飲む悔しいビールの味もあります。うまくいった時のビールは格別なんです。何もしていないときのビールが一番不味いんです(笑)」

基本情報
会社名 丸山木材工業株式会社(マルヤマグループ)代表取締役 
代表者名 丸山 大知
所在地 〒508-0036 岐阜県中津川市東宮町1−2
TEL/FAX TEL:0573-66-2155 / FAX:0573-66-6771
業務内容 住宅建築、住友林業株式会社住宅施工工事、ガソリンスタンド経営
公式サイト https://www.maruyama-g.co.jp/

関連記事

ページ上部へ戻る