株式会社エネファント

株式会社エネファント 代表取締役 磯﨑 顕三(30歳)多治見出身
多治見市を始めとした東濃地区を中心に太陽光発電システム及びエネルギー商材の販売・施工を行い、パナソニック製住宅用太陽光の販売実績、東海地区No.1の(株)エネファント代表へお話を伺いました。

「目指すは日本一電気代の安い街、エネルギー循環で地方活性化」

進路に悩み大学を休学

磯﨑社長は多治見市内の高校を卒業後、愛知県の大学へと進学しますが、家庭の事情でご両親から学費の援助が受けられなかったため、親戚に大学4年分の学費600万円を借りて大学へ通うことになります。

「小学生の頃は野球に打ち込み、プロ野球選手を目指していました。しかし厳しい父から、プロ野球選手は簡単になれるものではない、と現実を突きつけられてしまい、プロ野球選手がだめなら弁護士になろうと決めました。
僕はもともと理系ですが、小学生の頃弁護士になるって決めていたなぁくらいの気持ちで、大学では法学部に入りました。でも入学から1年立ち、今学んでいることは本当に自分がやりたいことなのか、疑問が湧いてきたんです。
借りた学費を返すのは当然自分、自分で600万円払ってまで大学へ行くことに納得が行かなくなってしまいました。自分で学費を払うのであれば本当に自分がやりたいことのためにお金を使いたいと思い、大学は一旦休学することにしました。
休学中に、自分が本当にやりたいことは何か改めて考えましたが、就職するにしても、何でも選べるけれど逆に選択肢が多すぎて、自分は何をするべきなのかとても悩みました。」

太陽光発電事業への出会い

太陽光発電というエネルギー事業を選択し、起業に至るまでの経緯とは。

「大学生だった2009年当時、政府が太陽光発電での余剰電力買取制度(売電制度)を開始したり、補助金制度を設けたりと、太陽光発電のさらなる普及支援が始まった節目の時期でした。
その頃得た情報で、当時地球上の60億人が1年間に消費する莫大なエネルギー量は、太陽から地球に送られるたった1時間のエネルギーとイコールという話を聞き、太陽が地球に送ってくる僅かなエネルギーで、60億人が1年間豊かに暮らせるのだと知って、とても衝撃を受けました。
学生時代近代史で人々の争いの元は、農地・食べ物・土地・宗教などから、エネルギーの奪い合いへと移り変わっていった歴史を学びました。日本でも、石油資源確保の必要性が高まったことが戦争勃発の引き金になったとも言えます。
太陽から地球に送られるエネルギー1時間分で皆が豊かに生活できるなら、何を争う必要があるのか、今太陽から届いた光をエネルギーに変換できたら奪い合わずとも、皆幸せに豊かに暮らせるのではないか、と強く心を動かされました。そこに自分のやりがいや社会的意義を感じ、今の事業をやろうと決めました。」

大学中退、22歳で起業という選択

太陽光が普及し始める節目の年代であったこと、太陽光エネルギーが莫大な量だと知ったこと、ゆとり教育の総合学習でのエネルギーの授業が面白かったこと、大学の学費を自分で支払わなければならなくなったこと、様々な要因が重なり起業へと繋がっていますが、22歳という若さで一人起業するというのは、どのような心境だったのでしょうか。

「学費を自分で何とかしなければいけなくなったことで腹が座りました(笑)学費として借りた600万円、どうせ自分で払うなら自分が納得することに使いたかったのです。
起業の際は学費に使う予定だった残りの500万円を起業資金に充てたので、万が一会社がダメでも、大学を卒業したと思えばいいやと開き直れたのも良かったです。実際、僕にとって起業は、大学に通う以上にたくさん学ぶことがありました。
起業を選択した他の理由としては、当時リーマンショック直後で就職氷河期真っ只中というのもありました。周りで100社に履歴書を送っても面接にすら辿りつかない現状を見聞きし、普通に就職する気にはなれなかったのです。
また、大手鉄道会社の設計士として勤務していた父の、会社の組織の中で心をすり減らしながら働く姿や、それが原因での家庭不和などを目の当たりにしたことで、余計に自分のやりたいことをしたいと思うようになりました。自分がどんな仕事をするのかってすごく大事だと、父の姿を見て思いました。」

コンセントの向こう側

太陽光発電の事業を始めるに当たり、勉強のため太陽光発電を設置している会社へ入社し、ノウハウを習得していた磯﨑社長。その年、東日本大震災が起こったことで、太陽光発電を普及させる意義を、さらに強く感じます。

「テレビで報道された東日本大震災で起きた発電所の事故を見て、何気なく使っているコンセントの先でこんなことが起きているのかと、改めて発電について考えさせられました。震災の件があってすぐに会社を立ち上げようと動き、同年の2011年6月に会社を創立しました。」

今後展開する事業の3本柱

2019年で創業8年目を迎えたエネファント、今後の事業展開とは。

「エネルギーを『創る』『使う』を最短でつなげることです。
今コンセントを繋げた先には、発電所があり、その発電所を動かしているほとんどが化石燃料です。そしてこの化石燃料の大半は中東から輸入しています。この距離と時間を最短で繋ぎたいと思っています。
距離を最短で繋ぐ例として住宅用の太陽光発電は、屋根から下の暮らしへ数メートルで繋ぐことができます。時間については、約3億年かけて作られる化石燃料はたった300年で採り尽くされようとしており、化石燃料が作られる速度と人間が使用する速度のギャップから温暖化などの環境異変に繋がっているのでは、と考えています。距離と時間を最短で適切に繋ぐことで持続可能な暮らしが実現できます。そのために会社として様々な事業を立ち上げています。

〈電気を創る〉再生可能エネルギー事業、太陽光パネルの販売・施工…(株)エネファント
〈電気を使う〉一般家庭・法人向け小売電気事業…たじみ電力
〈電気を貯める〉レンタカー事業…働こCAR

常に太陽が照らしているわけではないので、創った電力を貯めておくEV(電気自動車)のレンタカー事業を行っています。実際EVに貯めた電気で僕たちの生活は賄えるくらいEVは電気を貯められます。」

このレンタカー事業は、電気を貯めると同時に、地域課題である若者の採用難や人口流出に歯止めをかける役割も期待されています。

「地方では若い人材流出は長年の問題です。その対策として「働こCAR」の導入を勧めています。29歳以下の人材が地元の会社に就職したら、交通費支給の代わりにEVを社員に貸し出すという取り組みです。2019年の多治見ビジネスプランコンテストで特別賞をいただき、今後サービスを普及させていくところです。
働こCARはレンタカー事業ではありますが、EVを貸与している社員が出社し駐車している間は、たじみ電力が蓄電池として使用、それ以外は通勤やプライベートでタイヤを駆動し電気を作ってもらうので、車両貸与者とのバッテリーシェアリング事業でもあります。
昨今は若者のお給料で、住居と車両のお金を払っていくのは大変な時代、企業側で環境を整える必要があります。働こCARを導入することで、地元や都会からも良い人材に来てほしいと思っています。」

日本一電気代が安い地域を目指す

創業以来『創る』と『使う』を最短で繋ぐ事をポリシーとしているエネファント。地域への経済貢献がほとんどないメガソーラーとは一線を画し、掲げたポリシーのもと住宅用太陽光発電を販売してきました。数ある太陽光発電メーカーの中から性能を検証し販売する太陽光発電システムはパナソニックに選定、その後パナソニックの住宅用太陽光の販売実績 東海地区No.1を獲得します。

「20代は徹底的に汗をかこうと決めていたので、20代で培ってきた基盤を、30代できちんとビジネスモデルにして『創る』『使う』『貯める』の3つの事業を回し、発展させていきたいと思っています。40代には営業エリアを拡大し、新たな事業のロールモデルとして他の地方や海外へも発展させていきたいと考えています。
この東濃5市だけでもエネルギー市場は毎年1000億円と言われており、そのお金は最終的には中東まで流れていきますが、『創る』と『使う』の距離を最短で繋ぐことで、エネルギーを地域内で循環させ地域の潤いと発展に貢献していきたいと考えています。そして、この地域を日本一電気代が安い地域にしたいです。」

次世代へのメッセージ

失敗しても良い、勇気を出して一つ決めてみて。

僕たちゆとり世代は、小さい頃からある程度満たされて育ち、たくさん選択肢がある中で幸せに育つことができています。しかし、選択肢が多いと逆に自分が何を選べば良いのか決めるのが難しくなります。大人からは“色んなことをやっていいよ”と言ってもらえますが、余計に選択肢が多すぎて何も見えなくなり決められなくなることがあると思います。
そんな時は失敗しても良いので、勇気を出して一つ決めてみてください。まず決める、決めると見えるものがあるんです。
何でも良いので一つ決めたら、決めたことに対して選択をしていけるので、僕の場合は人生が開けて先が見えるようになりました。
一度決めたことでも、違うなと思えば何回でも変えれば良いんです。僕も野球選手から弁護士を目指し法学部に入りましたが、違うと思ってやめて、最終的にエネルギー事業をやっていくと決めたから、今があります。一つ決めるとビックリするくらい視界が良くなって悩まずやってこられました。
見えないから決められないのではなく、決めないから見えないんです。決めるのは自分、スイッチは自分で持っています。
太陽光発電に出会い起業を決めるまで、僕もたくさん悩みました。
悩んでる学生さん、いつでも相談に乗るので、ぜひ会社にあそびに来てくださいね!」

基本情報
会社名 株式会社エネファント
代表者名 磯﨑 顕三
所在地 (本社) 岐阜県多治見市下沢町3-35-1
(中津川営業所) 岐阜県中津川市落合100-8
TEL/FAX (本社)TEL:0120-10-9336 / FAX:0572-26-9347
業務内容 太陽光発電システム及びエネルギー商材の販売・施工・メンテナンス、再生可能エネルギーによる売電事業、一般家庭・法人向け電気工事及び電気設備販売、小売電気事業、レンタカー事業、電力アグリゲート事業
公式サイト https://enephant.co.jp/
求人サイト https://enephant.co.jp/採用/

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